マンチカンと引っ越し|新居になじむ準備
| 文:野村 太一(ペット系フリーライター) | カテゴリ:おでかけ

マンチカンとの引っ越しは、準備の順番が安心の鍵です。キャリー慣れから新居の一室づくり、滑りにくい床の整え方まで、落ち着いて新生活を始めるための工夫を紹介します。
引っ越しは、猫にとって「いつものにおい・音・隠れ場所」が一度に変わる大きな出来事です。とくに足の短いマンチカンは、移動先でも段差や床の滑りやすさによって過ごしやすさが変わります。荷造りを始める前から、新居に落ち着くまでの流れを小さく整えておくと、愛猫の戸惑いを減らせます。
まずは「引っ越し前の安心基地」をつくる
荷物が増え始めると、猫は部屋の変化に敏感になります。いきなり家具を動かすより、普段から使っているベッド、毛布、爪とぎ、トイレを一か所に集めた静かな部屋を用意しましょう。
引っ越し当日は、この部屋を最後に片づけるのが安心です。
段ボールは数日前から少量ずつ出し、においを確認させておくのがおすすめです。中に入って遊びたがる子もいますが、ふたを閉める前には必ず中を確認してください。
7日前から始める「キャリー=休める場所」練習
移動当日にだけキャリーを出すと、警戒心が強まりやすくなります。できれば引っ越しの7日前から、扉を開けたまま生活スペースに置きます。中には、いつもの敷物や飼い主さんのにおいがついた薄手の布を入れておきましょう。
- キャリーの近くでおやつをあげる
- 自分から入ったら、すぐ閉じ込めず褒める
- 短時間だけ扉を閉め、落ち着いたら開ける
マンチカンは出入りの段差が負担になることもあります。入口が高いタイプなら、安定した低い踏み台を添えるか、出入りしやすい形のキャリーを選びましょう。
当日は「静かな一室」と「3つの確認」が鍵
搬出入の時間は、玄関の開閉や大きな音が続きます。猫は荷物のない部屋、または動きの少ない浴室などに移し、ドアに「猫がいます。開けないでください」とメモを貼っておくと安心です。
出発前には、次の3つを確認します。
- 首輪や迷子札の情報が最新か
- キャリーの扉と留め具が閉まっているか
- 猫の写真、通院記録、飲んでいる薬のメモがあるか
車内ではキャリーを座席や足元にしっかり固定し、抱っこで移動させないことが大切です。暑い日・寒い日は車内の温度が変わりやすいため、先に空調を整えてから乗せましょう。
新居では、最初から全部屋を見せない
到着直後は、猫を1部屋だけで過ごさせます。そこにトイレ、水、ごはん、寝床、隠れられる箱を置き、以前使っていた毛布や爪とぎも一緒に入れます。知らない場所であっても、慣れたにおいがあるだけで安心材料になります。
最初の部屋でごはんを食べ、トイレを使い、少しでもくつろぐ様子が見えてから、猫のペースで行動範囲を広げましょう。マンチカンは床が滑ると踏ん張りにくいため、よく通る場所にはラグやマットを敷くと安心です。高い棚へ急に上がれるような配置より、低めの居場所を複数つくるほうが落ち着きやすいでしょう。
隠れて出てこないとき、急がなくて大丈夫
引っ越し後に家具のすき間やベッドの下へ隠れるのは、珍しいことではありません。無理に引っぱり出さず、静かに水とトイレへ行ける環境を保ちます。夜間にそっと探検する猫も多いため、部屋を暗くしすぎず、足元に小さな明かりを置くのも一案です。
ただし、食べない・水を飲まない状態が続く、何度も吐く、ぐったりする、排尿が見られないなどの様子があれば、早めに動物病院へ相談しましょう。
新しい家の「いつもの時間」を取り戻す
落ち着く近道は、特別なことより毎日の再現です。食事の時間、遊ぶ時間、なでる時間をできるだけ以前とそろえてみてください。畳コーナーのような静かな場所で、マンチカンが喉を鳴らしながら撫でられる時間が戻ってきたら、新居が安心できる場所になり始めた合図です。
引っ越しは一日で終わっても、猫の慣れ方には個性があります。急がせず、小さな「できた」を重ねながら、新しい暮らしを一緒につくっていきましょう。