猫の防災水支度|避難先でも飲める器
| 文:岡崎 みどり(シニア猫ケアアドバイザー) | カテゴリ:おでかけ

災害時に猫が水を飲めるようにするには、備蓄だけでなく器と置き場所の準備が大切です。エキゾチックショートヘアに合う防災水支度を紹介します。
いつもの器で、静かに水を飲むエキゾチックショートヘア。その何気ない姿は、避難先でも「飲める環境」をつくるヒントになります。災害時は、キャリー、フード、トイレに意識が向きがちです。けれど、水をどこで、何に入れ、どう出すかまで決めておくと、慌ただしい場面でも猫のいつものペースを守りやすくなります。
防災で先に決めたいのは「水飲み場」
環境省は、ペットとの同行避難に備え、十分な水や食料を用意し、避難先やルートを確認しておくことを案内しています。自治体や避難所によって受け入れ方・ルールは異なるため、住んでいる地域の案内を平時に確認しておきましょう。(env.go.jp)
そこでおすすめなのが、猫用の防災袋に「飲ませるセット」をひとまとめにすることです。水そのものだけでなく、猫が飲み慣れた器や置き場所の工夫まで含めて準備します。
水を備えるだけでなく、落ち着いて口をつけられる形にしておく。それが猫のための防災水支度です。
エキゾチックは“いつもの器”を避難袋へ
エキゾチックショートヘアは、平たい顔立ちゆえに器の縁や深さによって飲みやすさが変わることがあります。普段から飲みやすそうに使っている、浅めで安定感のある陶器の器を、防災用としてもう1枚用意しておくと安心です。
防災袋に入れるものは、次の4点で十分に始められます。
- 飲み慣れた形の器
- 折りたたみ式の予備ボウル
- 未開封の飲み水
- 器を置く小さなタオル
タオルは、器の滑り止めやこぼれ対策、キャリーの目隠しにも使えます。器は割れない素材を選びたくなりますが、普段の陶器が好きな猫なら、自宅の備蓄用には陶器、持ち出し用には軽い予備ボウル、と役割を分けるのも手です。
水は「3日分を起点」に、普段使いで回す
人用の家庭備蓄では、飲料・調理用として1人1日3リットル、最低3日分が目安とされています。猫の分も別に考え、まずは3日分を起点に、普段飲む量やフードの種類に合わせて無理なく上乗せしましょう。(maff.go.jp)
大切なのは、非常用だけをしまい込まないことです。古いものから日常で使い、使った分を買い足す「ローリングストック」にすると、期限切れや置き忘れを防げます。農林水産省も、日常の中で家庭備蓄を回す方法を紹介しています。(maff.go.jp)
置き場所は2か所に分けます
1か所にまとめると、玄関まで行けないときに取り出せないことがあります。
- 玄関近く:持ち出し用の水、予備ボウル、タオル
- 猫の生活スペース:自宅待機用の水、器、トイレ用品
和洋が混ざるマンションなら、たとえば畳コーナーの収納と玄関収納に分けると、猫の普段の居場所と避難動線の両方から手に取りやすくなります。
いつもの水を「移動先でも飲める水」にする練習
いきなり非常用ボウルを使う必要はありません。月に1回、落ち着いた時間に予備ボウルへいつもの水を入れ、畳コーナーやキャリーのそばに置いてみましょう。飲めたら、特別にほめたり、おやつで誘ったりしなくて大丈夫です。そっと離れ、猫が自分で近づける余白をつくります。
練習では、次の2つを見ます。
- 器の縁に顔が当たっていないか
- 床が滑って、飲みにくそうにしていないか
水を飲まないからと、顔を器へ近づけたり、口元へ無理に流し込んだりはしません。移動後に水分が取れない状態が続く、元気や食欲にも変化があるときは、動物病院に相談しましょう。
避難先では、人の動線から少し外す
避難先に着いたら、まずキャリーを安定した場所に置きます。水皿は出入口、通路、トイレの近くを避け、キャリーの脇にタオルを敷いて設置を。猫が周囲を見渡せるようなら、器を少し隠れる位置にずらしてみてください。
Q. ペットボトルのふたで飲ませてもいい?
A. 緊急時の一時的な方法にはなりますが、ひげや顔まわりが触れやすく、こぼれやすいことも。落ち着いたら、飲み慣れた器か予備ボウルへ移しましょう。
次の防災点検では、防災袋に水を入れるだけで終わらせず、エキゾチックがいつもの器で飲める一場面まで用意してみてください。小さな「いつも」が、外出先での安心につながります。