猫のワクチンの基礎知識|種類と接種スケジュール
| 文:岡崎 みどり(シニア猫ケアアドバイザー) | カテゴリ:健康

感染症から愛猫を守るワクチン。3種・5種の違いや、子猫・成猫それぞれの接種スケジュール、接種後の注意点までわかりやすく解説します。
ワクチンはなぜ必要なのか
ワクチンは、感染症を引き起こすウイルスや細菌に対する「免疫」をあらかじめ体につくっておくためのものです。完全室内飼いであっても、飼い主の衣服や靴を介してウイルスが持ち込まれることがあり、感染リスクはゼロではありません。重症化すると命に関わる病気も多いため、予防の基本としてワクチン接種が広く推奨されています。
ワクチンの種類
猫のワクチンは、含まれる予防対象の数によって種類が分かれます。
3種混合ワクチン(コアワクチン)
すべての猫に推奨される基本的なワクチンで、次の3つの感染症を予防します。
- 猫ウイルス性鼻気管炎:くしゃみ・鼻水・発熱を起こす、いわゆる「猫風邪」の代表。
- 猫カリシウイルス感染症:口内炎や舌の潰瘍を伴うことが多い感染症。
- 猫汎白血球減少症:致死率の高い、強い感染力を持つウイルス性腸炎。
5種・7種混合ワクチン
3種に加え、**猫白血病ウイルス感染症(FeLV)**やクラミジア感染症などへの予防を含むタイプです。外に出る機会がある猫や、多頭飼いの環境では、これらを含むワクチンが選択されることがあります。
完全室内飼いか、外に出る可能性があるか、同居猫の有無などによって、最適なワクチンの種類は変わります。生活スタイルを動物病院に伝えて相談しましょう。
接種スケジュールの目安
子猫の場合
母猫からもらった免疫(移行抗体)が切れる生後2か月頃から接種を始めます。1回では十分な免疫がつかないため、数週間あけて2〜3回接種するのが一般的です。
成猫の場合
初年度の接種が済んだあとは、年に1回の追加接種(追加免疫)が基本です。近年は猫の負担を考え、種類によっては数年に1回でよいとする考え方もあります。
接種後に気をつけたいこと
ワクチン接種後は、まれにアレルギー反応(顔の腫れ、嘔吐、ぐったりするなど)が出ることがあります。接種は午前中など、その日のうちに様子を観察できる時間帯に受けるのがおすすめです。接種当日は激しい運動を避け、安静に過ごさせましょう。
接種前に準備しておきたいこと
スムーズに接種を受けるために、来院前に次の点を整理しておきましょう。子猫であれば生年月日や前回の接種記録、成猫であれば普段の生活環境(完全室内飼いか、ベランダや庭に出るか、同居猫がいるか)をメモしておくと、動物病院で最適なワクチンを判断しやすくなります。体調が万全でないときの接種は避けるべきなので、当日に下痢・嘔吐・食欲不振などがある場合は、無理をせず日を改めましょう。
費用と頻度の考え方
ワクチンの費用は種類や動物病院によって幅がありますが、3種混合よりも5種・7種のほうが高くなる傾向があります。大切なのは「金額の安さ」ではなく「その猫の生活に本当に必要な予防か」という視点です。完全室内飼いで同居猫もいない場合は3種で十分なケースが多く、逆に保護活動や多頭飼い、外出機会のある環境では、より広いカバー範囲が望まれます。
抗体検査という選択肢
近年は、毎年機械的に接種するのではなく、「抗体価検査」で体内に十分な免疫が残っているかを調べ、必要に応じて接種する考え方も広がっています。猫の体への負担を減らせる一方、検査自体に費用がかかるため、かかりつけ医とメリット・デメリットを相談して決めるとよいでしょう。
よくある質問
Q. 完全室内飼いでもワクチンは必要ですか? A. はい。前述の通り、ウイルスは人の衣服や靴を介して屋内に持ち込まれます。災害時の避難や入院・ペットホテル利用の際にも、接種証明を求められることがあります。
Q. 接種後はいつもどおり過ごして大丈夫ですか? A. 当日は安静が基本です。激しい運動やシャンプーは避け、食欲や元気、顔の腫れがないかを観察してください。
ワクチンの種類や回数は、猫の生活環境・年齢・健康状態によって異なります。最適なプランは、必ずかかりつけの動物病院で相談して決めてください。