アビシニアンの台所乗り|降りた先の席を作る
| 文:野村 太一(ペット系フリーライター) | カテゴリ:しつけ

キッチンカウンターに乗るアビシニアンを叱らずに導くために。安全な代わりの席と、降りた瞬間をほめる3分習慣を紹介します。
キッチンカウンターにひらりと乗るアビシニアン。好奇心いっぱいの顔を見ると強く叱りにくい一方、火や包丁、食材がある場所だけに、そのままにはできません。
目指したいのは「乗ったら叱られる台所」ではなく、床に降りるといいことがある台所です。上がらないでほしい場所を守りながら、猫が選べる居場所を増やしていきましょう。
カウンター乗りは“困らせたい”行動ではありません
猫にとって高い場所は、見渡しやすく、家族の動きにも近づける魅力的な場所です。さらに、調理中はにおいや音、人の手の動きが集まり、アビシニアンのように周囲への関心が強い猫には楽しい観察スポットになりがちです。
爪とぎも含め、猫の行動を単純にやめさせようとするより、してよい行動の場所を用意するほうが続けやすい方法です。爪とぎは伸びやにおいづけなど、猫にとって自然な行動でもあります。(humaneworld.org)
先に作るのは「カウンターより近い席」
台所から少し離れた場所に、猫専用の低めの台や安定したキャットタワー、すべりにくいマットを置きます。大切なのは豪華さより、飼い主の姿と台所の気配が見えることです。
おすすめは、次の2か所です。
- 調理する人の背中側が見える場所
- ダイニングの端など、通路をふさがない場所
カウンターの真横に高いタワーを置くと、そこから飛び移りやすくなることがあります。最初は一歩離した位置から始め、猫がその席で落ち着けるかを見てください。
「見えないから上がる」のではなく、見えていても“ここが快適”と思える席を作るのがコツです。
3分で始める「降りたら得」の合図
準備ができたら、料理をしていない時間に練習します。1回3分ほどで十分です。
- 猫が専用席に乗ったら、静かに名前を呼ぶ
- 前足から体全体が席に収まったら、小さなおやつを1粒か、やさしく声をかける
- その場でくつろげたら、さらに一度だけほめる
カウンターに乗った瞬間は、大声を出さず、追いかけず、専用席の近くへおやつを置いて降りる選択を促します。降りた後にほめることで、「床の席へ行くと気持ちよく終われる」と伝わります。
抱き上げて何度も下ろすより、猫が自分で移動できる流れを作るほうが、台所への緊張を増やしにくいでしょう。
上がりにくい台所に、家族の動きを整える
練習中だけでなく、猫が上がる理由を減らすことも大切です。
- 食材、パン、食べ残しを出しっぱなしにしない
- シンクの水滴や生ごみを片づける
- 加熱中は猫を別室で過ごさせる、または扉・ゲートで区切る
- 帰宅直後や夕食準備前に、専用席で短く遊ぶ
「今日は忙しいから乗らせない」ではなく、忙しい日ほど先に別室や安全な席を使うのが安心です。熱い鍋や刃物がある最中は、しつけの練習より事故を防ぐ配置を優先してください。
それでも乗る日は、素材と高さを見直します
専用席を使わないときは、猫が求めている条件とずれているかもしれません。座面が滑る、ぐらつく、家族から遠い、見晴らしが足りないなどを一つずつ確認します。
爪とぎを兼ねた居場所にするなら、縦型だけでなく段ボール製の横型も近くに置いてみましょう。猫によって好む向きや素材は異なるため、複数の選択肢を試すことが勧められています。(aspca.org)
Q&A|降りないとき、おやつを増やしてもいい?
Q.毎回おやつを使うと、要求されませんか?
A.最初の数日は「専用席に行くといいことがある」と伝えるために使って構いません。落ち着いてきたら、おやつを毎回から2回に1回へ減らし、声かけや軽いなでる時間に替えていきます。食事量に響かないよう、小粒を使いましょう。
急にカウンター乗りが増えたうえ、落ち着かない、食欲や排せつの様子にも変化がある場合は、生活環境だけと決めつけず動物病院に相談しましょう。トイレ以外での排せつや急な行動変化には、体調やストレスが関わることがあります。(icatcare.org)
アビシニアンが足元や専用席で満足そうにのどを鳴らしているなら、それは台所の外にも「家族のそば」が作れている合図かもしれません。禁止の声を増やすより、降りた先の居心地を少しずつ育ててみてください。